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気をつけて!その不調は自律神経からのSOSかも!

自律神経についての話を聞くことは多いと思います。

しかし、身体を陰から支えてくれている自律神経の活躍には、意外と気づいていない人が多いです。

あなたが今、困っている症状や日頃の疲れは、自律神経の乱れによって引き起こされているかもしれません。

24時間、私たちの身体をコントロールしてくれている自律神経の正体について正しく理解して、自律神経をセルフケアできるようになりましょう!

目次

疲れは自律神経から

人の身体を自動でコントロールしているのは『自律神経』です。
自律神経は、アクセル役の交感神経とブレーキ役の副交感神経からなり、
呼吸、心拍、血圧、体温を適切に保ち、消化・吸収やエネルギー代謝を司っています。

現代のような多忙な日々を送っていると、日常的に疲れを感じやすいのではないでしょうか?

その疲れは、自律神経に異変が生じている証拠です。
疲れは発熱や痛みと並ぶ、生体の3大アラームと言われます。身体に危険が迫っている証拠です。
実は、疲れているのは筋肉などの身体の組織ではなく、自律神経です。

頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、ほてり、むくみ、バランス感覚が崩れてふらふらする…。
疲れがたまると生じるこれらの症状は、いずれも自律神経が疲れすぎて失調しているサインです。

自律神経は意識できないので、良かれと思ってやっていることが、実は自律神経のダメージとなるケースも少なくないです。

自律神経は老化する

30代以降の方は、疲れや老化を自覚する機会が増えませんか?
その背景にあるのは、自律神経の老化です。

呼吸、心拍、血圧、体温を適切に保ち、消化・吸収やエネルギー代謝を司る『自律神経』が老化してしまうと、若さは保てません。

ところが、交感神経と副交感神経からなる自律神経のトータルパワー(活動量)は、10代をピークとして加齢とともに右肩下がりで低下するとわかっています。

トータルパワーは、10代と比べて40代で約半分、60代では1/4を下回ってしまいます。

男女差もあり、60代までは男性の方が、女性よりトータルパワーは高く、70代でほぼイコールになります。

自律神経の老化のきっかけは、有害な活性酸素による酸化です。人間は呼吸で酸素を取り込まないと生きられませんが、その取り込んだ酸素の1〜2%は、活性酸素に変わってしまいます。

自律神経に限らず、老化とは酸化がもたらすものです。
その中でも自律神経を構成する神経細胞は、一度傷つけられると二度と再生しないと言われています。

したがって、年を追うごとに酸化ダメージが蓄積し続け、自律神経の機能は右肩下がりとなってしまいます。
30代からは自律神経に負担をかけない穏やかな生活やセルフケアを、より一層心がけましょう。

交感神経と副交感神経の役割

自律神経を構成する交感神経と副交感神経は、二重支配と相反支配という2つの原則があります。
この原則に乗っ取って、体内環境を一定範囲内に保つ恒常性(ホメオスタシス)を持っています。

二重支配とは、1つの臓器や組織を交感神経と副交感神経が両方でコントロールしていることを指します。
どちらか一方のみが司る臓器は、汗腺などの例外を除くと存在しません。

そして、相反支配とは交感神経と副交感神経が対照的な(反対の)役割を果たすという意味です。

心臓の場合、交感神経は心臓を刺激して心拍を早めて、副交感神経は心臓を抑制して心拍を遅くします。
胃腸の場合は、交感神経がブレーキを踏んで消化・吸収をおさえ、副交感神経がアクセルを踏んで消化・吸収を進めます。

スイッチが入るタイミングも対照的です。
交感神経は緊張や興奮、危険や恐怖に呼応し、日中の活動時や運動時、ストレス下で優位となります。

副交感神経は安心・安全で、平穏な状況に呼応し、食事中や夕方〜夜間に心身をリラックスへと誘います。

交感神経と副交感神経は、別々のルートで全身にネットワークを広げていますが、そのコントロール中枢があるのは脳の視床下部と前帯状回、大脳辺縁系と呼ばれるところです。

この脳のコントロール中枢で、交感神経と副交感神経の働き度合いが決められています。

現代人は働きすぎ…?

働き方改革が推進されつつあるとはいえ、現代人の多くは1日10時間近く平気で働いています。
現在のライフスタイルに馴染んでいると、何の疑問も感じませんが、これは自律神経のリミットをはるかに超えています。

活発に狩りをするライオンなどの肉食性動物の活動時間は、せいぜい1日3時間です。
人間は雑食ですが、活発に動き回れるのはライオンなどと同じく、おそらく3時間ほどが限界だと思われます。
10時間以上も活動し続けるのは、身体の仕組み的には無茶な話です。

活動しすぎは、自律神経の老化を一層進める要因にもなってしまいます。

動物でも牛のような草食動物は、ゆっくり移動しながら一日中食事をしています。
しかし、体温や心拍数の変化をほとんど伴っていないため、自律神経にはさほど負担をかけていません。

じっと座ってデスクワークをしている人は、活動量自体は草食動物とさして変わらないかもしれません。
しかし、仕事中は常時緊張を強いられるアウェイモードの人も多いはず。
仕事中のストレスで交感神経がオンになりやすく、自律神経のバランスが崩れがちです。
また、デスクワークで同じ姿勢を続けると血流が悪化して、自律神経には有害になります。

睡眠不足の影響

睡眠不足を放置すると、借金のように積み重なり、心身に悪影響を及ぼすのが睡眠負債です。
身体のどこの部位よりも睡眠負債がたまるのは、自律神経と言われています。

日中、自律神経は休みなく働き続けます。
睡眠中も自律神経は働いていますが、昼間の活動と比べると落ち着いています。
睡眠中に自律神経の回復が進みます。

睡眠不足だと修復が不十分のまま翌朝を迎えてしまうため、自律神経に疲労が蓄積します。
そして、加齢による自律神経の老化に拍車をかけてしまいます。

忙しくて昼間にアクティブに活動する時間が長いほど、自律神経への疲労が増えるため、そういう日こそ長く眠って、
自律神経を疲労回復させるべきです。
しかし、現実には忙しい日は睡眠時間がそれだけ短くなるため、睡眠負債が積み重なって、自律神経は劣化の一途をたどってしまいます。

持久力の低下も自律神経の影響

歳とともに階段を上るのがおっくうになったり、長い距離を歩くのを避けるようになっていませんか?
これは持久力が低下したサインです。

持久力には全身を動かし続ける全身持久力と、特定の筋肉だけを動かし続ける筋持久力があります。
年齢と共に落ちやすいのは、全身持久力です。俗にスタミナと呼ばれます。

スタミナは、筋肉に必要な酸素を送り届ける心肺機能に左右されます。
心肺機能とは、肺から酸素を吸い込み、心臓と血管ネットワークで筋肉などの組織に届けて、呼吸の結果出てくる不要な二酸化炭素を肺から排出する能力です。
この心肺機能を背後から操っているのは、自律神経です。

強度に応じて呼吸数や心拍数を上げ下げしたり、血液で酸素を全身に巡らせたりするのは、自律神経の役割です。
体を動かして上がりすぎた体温を発汗などで下げるのもやはり自律神経です。
自律神経の能力が持久力の質を決めています。

息が切れるようなペースで走るとすぐに疲れて足が止まってしまいますよね。
息が切れる=自律神経ではコントロールできない強度ということ。脳がそれ以上の運動を強制的にストップさせます。
そして、加齢でスタミナが落ちるのも、年を重ねるごとに自律神経のパワーが下がっているせいです。

自律神経のパワーが下がってきているなと感じたら、
自律神経に負担をかけない穏やかな生活やセルフケアを、より一層心がけましょう。

まとめ

・日常的な疲れは、自律神経に異変が生じている証拠
・自律神経を構成する神経細胞は、一度傷つけられると二度と再生しない
・現代人は仕事中のストレスで交感神経がオンになりやすく、自律神経のバランスが崩れがち
・加齢でスタミナが落ちるのも、年を重ねるごとに自律神経のパワーが下がっているせい


参考文献:Tarzan No.769 2019年8月8日号
発行人:西田 善太
編集人:山口 淳
株式会社 マガジンハウス

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