腸内細菌があなたを救う!見過ごせない健康への影響力
私たちの健康維持には、腸を健康に保つことが欠かせないと言われています。
腸は食べ物から栄養成分を摂り込むだけでなく、免疫細胞を活性化して病気にならない体を作ります。
そのために腸内細菌のバランスを整えることがカギになります。
今回は、腸の役割と腸内細菌の関係について解説します!
目次
- ○ 健全な腸内フローラが健康を作る
- ○ 腸の働き
- ○ 腸と免疫の関係
- ○ 腸内細菌の役割
- ○ 腸内フローラの理想バランス
- ○ まとめ
健全な腸内フローラが健康を作る
乳酸菌やビフィズス菌は、私たちの体のあらゆる所に共生していて、健康をサポートしてくれています。
腸の話で言えば、腸内細菌叢(腸内フローラ)が健全な状態で働いている場合は、
下痢もしない、便秘もしない、快眠できる など、体に有利な様々な効果を持っていることが明らかになっています。
ヒトの腸内では、乳酸菌やビフィズス菌などが共生し、お互いに高め合って理想的な良い環境を作っています。
この理想の腸内環境を作ることで、がんや肝疾患、高血圧、肥満、アレルギーなどの生活習慣病の発症の抑制、
つまり生活習慣病の予防効果があることが研究で分かってきています。
腸の働き
腸には、小腸と大腸があり、胃、十二指腸を通ってきた食物の最終消化と吸収、老廃物の排泄をしています。
小腸は主に栄養素の消化と吸収を行い、長さは約6mにもなります。
小腸から吸収された栄養素は肝臓から血流に乗って全身に届けられます。
大腸は小腸から送られてくる残りカスから、水分を吸収して、便を形成します。
消化…食べ物の最終消化と腸内細菌による分解が行われる
解毒…腸粘膜や腸内細菌が化学物質などを分解する
排泄…蠕動運動により不要な老廃物と毒素を便として排泄する
吸収…分解された栄養素や水分を吸収する
免疫…リンパ球など免疫細胞が集中している。外敵菌等から、身体を守る。
他にも浄血や合成などの作用があると言われています。
腸と免疫の関係
腸には免疫細胞の約70%が集まっていて、「腸管免疫」と呼ばれています。
この免疫機能に寄与しているのが腸内細菌です。
また免疫細胞で作られる『免疫グロブリンA(IgA)』は、善玉菌が作り出す短鎖脂肪酸によって生産が増強されます。
そのため、腸内環境を整えることで、身体全体の免疫機能がアップします。
近年、人体の研究が急速に進むにつれ、腸が全身の健康に深く関わっているということがわかってきました。
第2の脳ともいわれる腸の健康に欠かせないのが「腸内細菌」です。
私たちの体内に生息する細菌(常在菌)の数は約100兆個もあり、重さにすると1〜2キロになると言われています。
その90%近くが消化管に存在し、種類も数も圧倒的に多く、ヒトの体の細胞が約60兆個と考えると、それをはるかに上回る「自分ではない細胞」が腸内に住んでいることになります。
腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の種類別に集まって、腸壁にびっしりと張りついています。
この状態が品種ごとに並んで咲くお花畑(flora)に見えたことから、『腸内フローラ』と呼ばれるようになりました。
食べ物は小腸で消化吸収され、残りカスが大腸の腸内細菌によって発酵され、一部栄養分の吸収、水分のコントロールが行われます。この小腸の終わりになる回腸から大腸にかけて、お花畑のように腸内フローラが存在します。
この腸内フローラは人間の顔や性格が違うように、私たちひとりひとりで異なります。
また生活習慣や年齢、ストレスの状態によっても変化しています。
さらに、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンは、ほとんどが腸管で作られているとも考えられています。
そのため腸内フローラの環境を整えることが、健康維持だけでなく心の平穏には欠かせません。
腸内細菌の役割
私たちの身体は食べ物を食べると、各臓器より酵素が分泌されて消化活動が行われ、腸から各種の栄養分や水分が体内に吸収されます。
その際、腸は脳からの指示がなくても独立して活動する独自の神経ネットワークを持ち、意識しなくても24時間絶え間なく働いて生命を支えています。
このことから「腸は第2の脳」とも呼ばれています。
腸には「腸内細菌」と呼ばれる様々な菌が住んでいて、その数はおよそ1000種類、100兆個にも及ぶといわれています。
腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌の大きく3つに分けられ、善玉菌は腸が元気になる有機酸を作り出します。逆に悪玉菌は有害物質を発生させます。
このため、腸内で悪玉菌が増えると、腸内細菌のバランスが乱れ、便秘や下痢、肌荒れなどが起こりやすく、さらに肥満、花粉症、アレルギー、糖尿病、大腸がんなどの病気の原因になることもあります。
反対に善玉菌が増えると免疫力がアップし、病気の予防効果があると広く知られるようになりました。
さらに、最近では生体をリラックスさせる働きのある有用細菌も発見され、うつ病や不安障害などを治療する研究も進められています。
このように腸内細菌のバランスが、私たちの健康や体調に大きく影響しています。
ただし、腸がどんな種類の細菌をどのぐらい持っているかは、食生活や年齢によって異なり、加齢によっても悪玉菌の割合が増えると言われています。
このことからも腸内細菌を整えることが、健康長寿への第一歩です。
腸内フローラの理想バランス
腸内に住む細菌は1000種類以上と言われ、腸内細菌は大きく三つに分かれています。
善玉菌…乳酸菌やビフィズス菌などの発酵活動を行って乳酸や酢酸を作り出す。
悪玉菌…大腸菌やウェルシュ菌などで、腐敗活動を行って毒性物質を作り出す。
日和見菌…善玉菌の味方になったり、悪玉菌の見方になったりする。どの種類が多いか少ないかは、人によって異なります。
腸内フローラの理想バランスは、善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70% が理想と考えられています。
腸内フローラのバランスが崩れると体の不調を引き起こす原因になってしまいます。
例えば、
脳・神経の不調では、うつ・不安症・認知症などになってしまい、
免疫力が低下すると=風邪をひきやすかったり、花粉症になってしまいます。
代謝が下がってしまうと肥満や冷え症になりやすく、糖尿病にもつながります。
肌のトラブルでは、乾燥肌やシワができやすくなります。
消化器系の不調では、便秘・下痢・大腸がんなどにつながります。
このように腸内フローラのバランスが崩れると、さまざまな不調を引き起こす原因になってしまいます。
腸内フローラのバランスを整えることが、健康で美しい体をキープするにはとても大切です。
まとめ
・乳酸菌やビフィズス菌は、私たちの健康をサポートしてくれている
・腸には免疫細胞の約70%が集まっていて、「腸管免疫」と呼ばれている
・「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンは、ほとんどが腸管で作られている
・腸内フローラの理想バランスは、善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%
・腸内フローラのバランスが崩れると、さまざまな不調を引き起こす原因になる
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参考文献:乳酸菌生産物質の秘密
発行所:株式会社ニュートリエントライブラリー